暗号通貨

お金の本質|デジタル通貨で変わる暗号通貨の未来

先日、証券や暗号通貨関連のビジネスに関わる児山さんのツイートを見て、暗号通貨の未来について、改めて考えてみました。

僕は児山さんと、この「中国が仮想通貨を禁止した回数」の意味について議論をし、おそらくこれは報道日数の間違いだろうという結論に至りました。真偽はわかりません。

今、中国を中心に進む暗号通貨の規制ですが、実は、暗号通貨が浸透した先にあるものは、「中央銀行の独自通貨」であることを、僕は4年前の記事の中で伝えていました。

[第3回] 暗号通貨浸透の先にあるもの 暗号通貨のおさらい 僕が2015年に初めてビットコインを購入した際は、投資家で暗号通貨の話をする人は誰もいませんでした。少なくと...

そして今回は、お金と国家の関係性から暗号通貨の未来について、アップデートした今の考えを記してこうと思います。

僕は6年前の2015年に初めにビットコインに投資をしてから、ずっと暗号通貨の本質を見ようとしてきました。僕は世間で注目される単なる価格の上昇とか正直どうでもいいです。最後に生き残るものはどういうもので、その技術がどのように社会に根付き、結果的に通貨として、あるいは技術として価値をつけていくか…それを自分で予測し、上手に時流に乗ることで、大きな恩恵を得られると考えています。当然、そうなれば国家の枠組みで考える必要があり、国家運営や中央銀行の本質についても理解しなければなりません。

この記事を読むと、暗号通貨を大局で見ることができます。最後までじっくり読んでみてください。

ではいきます。

ビットコインでお金の自由は得られない理由

僕はビットコイン登場当初から人々が思い描く「人類がお金の制限から解放され、真の自由を手に入れる」ということは、実現しないだろうと考えています。僕たちが考える『通貨』の概念には近づくことはできても、それ自体にはなり得ないということです。

その理由は4つあります。

  1. ボラティリティが激しいから
  2. 供給量の上限が決まってるから
  3. マネーロンダリングの温床になるから
  4. 中央銀行はコントロールできる通貨を扱いたいから

これだけでは伝わりづらいと思うので、詳しく説明していきますね。

ボラティリティが激しい

まず、ビットコインでお金の自由が得られない理由の1つ目は、ビットコインがボラティリティが激しいので通貨に向いていないという話です。ボラティリティとは値動きの激しさを表します。通貨は安定していないと通貨になりえません。なぜなら、通貨の価値が暴騰あるいは暴落したら物価が安定しないからです。

大暴落したところを各国政府が買い占め、政府以外の参加者を認めない形で相互に貿易に利用するなどといった仕組みであれば、まだ可能性はあるとかんがえましたが、現状、ビットコインの参加者は世界中におり、DiFiなどの金融インフラや、ビットコイン担保のデッドファイナンス(借金)、ビットコインデリバティブの発展などの動きを見ると、個人としての自由度はあがるでしょうが、やはり政府による利用は現実的ではありません。

かつて、僕たちの世界には「金本位制」という仕組みがありました。これは、金(ゴールド)の保有量によって貨幣の発行量が決まるというものです。この制度は、たとえ経済が低迷し、その国の通貨が大量に売られたとしても、ゴールドが担保となっているため、通貨の価値が保たれるというものです。

話を戻すと、ビットコインが通貨として機能するとしたら、ハイパーインフレリスクに見舞われる一部の新興国では可能性があります。しかし、現代はグローバル化社会です。先進国では製造に使う原料や製品の輸出入が頻繁に行われます。それらが流通して経済活動が正常化し、物価も安定します。そのような国々ではハイパーインフレが起こる可能性は限りなく低く、わざわざ自国の通貨を放棄するとは考えにくいです。

たしかに、ビットコインは価値の保存と言われており、インフレ対策として富裕層から買われるものになってきています。いわゆるデジタル・ゴールドと言われるものです。もしそうなるなら、それは現金以外の代替資産であり、デジタル・コモディティです。事実、ビットコインを創造したsatoshi nakamotoは論文の中で、ビットコインのマイナー(取引を確認してインセンティブを受け取る人)を金鉱労働者に例えているくらいです。

供給量の上限が決まっている

お金の自由が得られない2つ目の理由は、ビットコインの発行上限は2100万枚と決まっていることです。ビットコインは約4年に1度の半減期が訪れる度に、マイナー(電力を使って取引を確認する人)の報酬が半分に減少していき、最終的に発行枚数が上限に達したら新規の発行はゼロになる仕組みです。

もしビットコインが基軸通貨になり、上限枚数に達したら希少性は高くなりますが、その後は取り合いになります。最悪の場合、サイバー戦争だってありえる。でも安心してください。ビットコインにそれほどの価値はありません。ただし、利用価値が全くないわけではありません。現にTwitter創業者のジャック・ドーシーや、テスラCEOのイーロン・マスクは、ビットコインに注目していますよね。彼らのようなイノベーター・アクセラレーターがいれば、何かしらの形でビットコインが残る可能性が出てきます。

未来はあやふやで確定されていませんが、たとえ半減期を繰り返すことでマイナーを支えるという名目で価格が上昇したとしても、最終的に僕たち人類は、ビットコインを使ってあらゆるデリバティブを創り出し、金融商品として扱うと僕は考えています。

僕の記憶では、2015年時点でMIT(マサチューセッツ工科大学)がすでにAIにビットコイン取引を学習させ実際に市場に参加させる実験を行っており、他方ではNTTデータも研究を始めていました。市場参加者は非常に多く、繰り返しになりますが、今後も金融商品として扱われるでしょう。

マネーロンダリングの温床になる

また、ビットコインをはじめとする暗号通貨はマネーロンダリングの温床となっています。これがお金の自由が得られない3つ目の理由です。

現実問題として、テロ組織やテロ事件に使われる武器の密売に暗号通貨が使われたことは何度もあります。

また、資産家たちは常に稼いだお金の逃避先を探しています。国内外で暗号通貨詐欺が流行っている理由は、ブロックチェーンの仕様を理解している資産家が、巧みな操作をすることで、足がつかず現金化することができるからです。このような状況が前提としてあるため、世界各国の監視はより厳しくなることは明白だといえます。暗号通貨はこの先もずっと規制との戦いです。

一部の金融事業を行う企業の中には、一度興味を示したものの、あえて暗号通貨業界に参入しない企業もありました。なぜなら、彼らは不確実性をできるだけ排除して経営をしたいからです。万が一、国内で事業が停止、あるいは規制による大幅な事業規模の縮小を余儀なくされた場合、事業計画に狂いが生じ、雇用している人材のその後の扱いや、キャッシュフローの悪化が起きることだって十分に考えられます。

そして、個人は国家に逆らうことはできません。その原理原則から導き出される答えは、今後も僕たち法・規制の範囲内でビットコイン(暗号通貨)を扱うことを許されるということです。中国の暗号通貨の全面規制は極端な例ですが、それを除外したとしても、Binanceの各国の規制や日本の金融庁の国内販売所に対する規制など、個人でもできることは基本的に限られてくるでしょう。

ただ、このような規制もくぐり抜ける人たちはどの世界にもいますよね。例えばインターネットのハッカーがその例です。彼らは最新のセキュリティソフトの仕組みを理解し、獲物を狩ります。最新のiPhoneやWindowsOSのセキュリティホールを見つけてしまう人もいます。これらは技術的なセキュリティの突破ですが、タックスヘイブンの活用など、制度の突破を可能とする人も世界中にいることは、今となっては周知の事実です。

そのような理由から、今後もビットコインなどの暗号通貨の規制はより厳しくなると考えるのが妥当でしょう。

中央銀行はコントロールできる通貨を扱いたい

そして、中央銀行はその物価をコントロールするために内外の環境の変化を観測し、金融政策を決定しています。この物価のコントロールとは、つまり通貨のコントロールに他なりません。グローバル環境では必要なことです。

たとえば、ロシアは2014年2月、クリミアの併合を機にG7から一斉に経済制裁を受けました。それによって一時期はVISAやMasterも使えなくなり、輸入は停止し、国内物価が急騰しました。その時、ロシアが行ったのは為替介入と利上げです。ロシア政府は米ドルを売り、ロシアルーブルを買うことで耐えました。そして、ロシア銀行(中央銀行)が臨機応変に緊急利上げを行い、国内インフレを抑えました。

また、もう一つ例があります。2020年3月の新型コロナウイルスの感染拡大によるコロナショックから先進国市場(日欧米)の株式市場が急回復した理由は、量的金融緩和です。通貨発行、流動性の供給による株価の回復です。

これらを見ても彼らは金融市場を安定させるために、自国の通貨をコントロールしたいということが表れていることがわかるでしょう。

さて、ここまでビットコインでお金の自由が得られない理由を4つ解説してきましたが、そこからわかることは「やはり国家の枠組みで考える必要がある」ということです。

では、ここからは世界中の国々が自国通貨を発行する目的について、未来を絡ませて書いていきますね。

国家がデジタル通貨発行で得られること

中央銀行は、各国中央銀行が発行する独自のデジタル通貨構想が広がっています。

彼らがビットコインではなく、自国通貨のデジタル化にこだわる理由は主に3つです。

  1. 物価の安定
  2. シニョレッジ(通貨発行益)
  3. 所得(お金の流れ)の監視

物価の安定は前述したとおりなので、残りの2つについて解説していきますね。

シニョレッジ

2つ目の「シニョレッジ」は通貨発行益とも言われており、その名のとおり通貨を発行する中央銀行が得られる利益のことです。

中央銀行は通貨を発行し、そこから製造コストを差し引いたものが利益になりますが、同時に負債としても計上されるので、帳簿上は利益はありません。しかし、製造コストは20数円と言われているほど安いので、100ドル札でも1万円札でも、現在価値という意味で利益が出ていることになります(ただし、あくまで将来の金利収入の割引現在価値であって、過剰に供給した分の反動はいずれ、その国の経済が受けることになります)。この話は経済学に触れたことのない人にとっては少し複雑に思えるかもしれないのでスルーしてください。

つまり、何が言いたいかというと、通貨が発行されている限り、中央銀行は運用利益を得られるということです。その分、物価や負債のコントロールしなければならないということです。

お金の流れの監視

話を戻しますが、中銀発行が通貨にこだわる理由の3つ目は、デジタル化が進むことで大きなメリットを受けれられることです。それは、国民の所得管理の効率化です。所得管理が効率化するということは税収管理も楽になるということです。これだけではよくわからないと思うのですが、かんたんに説明すると、電子化しているのでマイナンバーカードや銀行口座、健康保険、国民年金などを複数紐付けて、お金の流れをデジタル上で把握することができれば、脱税を取り締まることができます。それがどの国も独自のデジタル通貨を発行を考える理由の一つになっています。

中国のデジタル人民元の正しい認識

ちなみに、中国のデジタル人民元はDCEP(Digital Currency Electronic Payment)と呼ばれており、厳密には世間で語られるCBDC(Central Bank Digital Currency)ではありません。デジタル人民元は中央銀行のデジタル通貨ですが、人民銀行は現時点でブロックチェーンを基本的に採用しない方針です。CBDCはブロックチェーンを利用する前提のため、厳密には仕様が違います。もちろん取引を確認するマイニングもありません。

基幹となるシステムにブロックチェーンを採用しないほうが、誤りが出た際に修正が利くからでしょうね。これは国によって考えが異なるでしょう。

残念ながら、中国のデジタル人民元に関して、メディアやあらゆる専門家たちが認識を間違えて発言しています。彼らは人民銀行の幹部たちの発言を全く聞いていませんし、DCEPの概念すら知りません。

もちろん、中国がブロックチェーンをDCEPであるデジタル人民元に一部採用することは考えられます。偽造防止やハッキング対策のためです。

このデジタル人民元が、実際にどのように社会に浸透するかは誰もが気になるところでしょう。

デジタル人民元の利用場面

中国はデジタル人民元を早速展開しており、デリバリーやECなどを展開する美団でもデジタル人民元の红包という形でお金を配っています。

1枚目の画像は、先日僕が美団のアプリを使っていて見つけたものです。一人に対して最大216元分配るよというものです。美団のシェアサイクルサービスで利用できるそうです。

受領が成功するとこのような画面になります。

美団の試験導入は北京、上海、深圳、海南、長沙、蘇州、西安、成都、雄安新区の9つの地域で開始されています。

お店でも既に使える場所があります。以下の画像では、デジタル人民元(e-CNY)が利用できると表記されていますね。

中国は実社会での展開スピードが世界トップレベルなので、今後は中国モデルが、ロシアなどの動きの早い国でも採用される可能性が高いです。

以上がデジタル人民元を発行する理由ですが、では、結局暗号通貨の今後はどうなるのか、という話を最後にしたいと思います。

暗号通貨の未来

現時点で僕が見ている暗号通貨の未来は、強固な経済圏を確立できた暗号通貨(トークン)は生き残ると考えています。僕は以前からイーサリアムが本物だと考えています。契約の自動化、あらゆる暗号通貨やDiFi(分散型金融)のベースとなり、トークン規格であるERC20も多くの人に利用されている。何よりも暗号通貨作成のベースそのものになっています。それだけでなく創設者のヴィタリック・ブテリンは自らが動き、営業をしに行く姿勢があり、ブレイクスルーを起こす要因になっています。

僕はまだビットコインが世間に認知されるずっと前から彼がビットコインの集まりに積極的に参加している姿を見て、ブレイクスルーを起こす可能性を感じていました。他にもイーサリアムが生き残る根拠は沢山ありますが、僕自身がこETHをずっと扱ってきていて、今後もインフラ化したイーサリアム経済圏に注目しています。

暗号通貨は、スケーラビリティ問題(ブロックサイズ問題)が定期的に議題に上がり、議論は尽きません。ただ、一ついえることは、最終的には実社会との関わりを深めたチェーンが勝つと考えています。

そして「通貨」においては、前述のとおり、結局のところ国家の通貨を使うことになるということです。その国に住む限り、その国のルール(法)に従って生活することになります。

この考えが、少しでも今後暗号通貨に触れる際の参考になれば嬉しいです。

ではごきげんよう。

[第3回] 暗号通貨浸透の先にあるもの 暗号通貨のおさらい 僕が2015年に初めてビットコインを購入した際は、投資家で暗号通貨の話をする人は誰もいませんでした。少なくと...