香港株

中国企業100社以上が上場失敗した裏側

中国企業の多くは香港へ上場していますが、中国本土市場への上場も多くの企業が計画しています。ところが、今年に入ってから多くの企業が上場を取りやめたことがニュース記事にもなっていたことから、なぜ失敗するのかについて書いてみようと思いました。

ではいきます!

中国企業の上場失敗の2つの理由

既に100社以上の中国企業が上場を失敗しています。その理由は2つです。

  1. 中国当局によるアリババ規制(アント上場中止)以降、上場審査基準が厳しくなり、最悪の場合、当局から罰金などの制裁を食らうことを恐れた企業がIPO申請辞退したため。
  2. 中国企業によるA株と香港株への重複上場(通称A+H)において、上場に必要な基準をクリアすることができず失効したため。

順番に解説していきますね。

アント上場中止の影響

まず、1つ目の上場失敗の理由ですが、当局によるアントの上場中止による影響は相当大きななものでした。以下がその記事です。

中国ハイテク新興に逆風 88社新規上場取りやめ。アリババ締め付けや米中対立長期化

この記事には、88社と書いていますが、これは新興市場のみなので、メインボードも合わせたら100社を超える企業が上場を断念していることになります。

これは、アントの上場中止以降、審査基準が厳しくなり、最悪の場合、罰金が課せられる可能性があるとの懸念から、中国のハイテク系新興企業が集まる「科創板」に上場を考えていた中国企業が次々と上場の辞退をしたのです。

アリババの二の舞にならないために、eコマース大手の京东(JDドットコム)のグループ会社は上場をしないという決断をしました。その後、米国と香港に上場するJDの株は下落しました。

今回の当局の規制について、僕はきちんとした監査によって、基準を満たした会社が上場するという点には賛成です。しかし、アリババの独占禁止法違反で約182億元(約3050億円)の罰金額が課せられたことについては高すぎると思いましたね…。

過去には(米国市場ですが)中国企業ラッキンコーヒーのような巨額の粉飾決算もあり、当局はアリババやアントへの制裁を機に、金融界の抜本的な見直しをすると決めたのでしょう。

A+H上場における審査基準の未達

そして、中国企業のIPOが失敗する2つ目の理由は、A市場と香港市場(H市場)の重複上場において、審査基準をクリアできないことです。重複上場は昨年から盛り上がっていて、特に香港は熱気がありました。

重複上場には主に4つのケースがあります。

  1. A市場に上場している企業が香港市場に上場するケース
  2. 香港市場に上場している企業がA市場に上場するケース
  3. A株上場企業が持ち株会社をスピンオフし、香港に上場させるケース
  4. 米国市場に上場している中国企業(中国概念株
    =China Concept Stocks)が香港市場に上場するケース

上の3つのうち、重複上場では主にA+Hが注目されています。中でも②と④のケースが投資家から注目されています。しかし、香港に上場する企業がA株へ上場を計画するとなると、香港に上場している株式の時価総額が50、60億HKD(香港ドル)ないとA+Hは達成できません。かなり敷居が高いです。

そのためにA+Hを完成させる企業は、機関投資家含む多くの投資家を集めます(個人に対しても裏で煽ります)が、このA株上場のプロジェクトが失敗することはよくあるのです。

例えば、スマートフォンメーカーのシャオミ(小米科技)は昨年A株への上場を諦めました。とても注目されましたが、香港に上場はできてもA+Hは完成できません。シャオミはA市場への上場までに最低でもあと2年はかかると思います。

そして、A株への計画を達成できないとわかった場合、必ずではないですが、その企業の株価は急落する傾向があります。利害関係者がプロジェクトの頓挫により売却する、あるいは期待していた個人が売却するからです。

もちろん香港には怪しい仕手筋もいるので、短期的に異常な値動きが見られることもあります。そういう意味では、個人投資家は、重複上場の計画があるからといって乗るべきではないでしょう。

しっかりと収益構造やビジネスモデルを分析した上でメリットを感じた場合にのみ乗るべきです。よくわからないなら買ってはいけません!大原則です。しかもポートフォリオの半分以上占める投資をするべきではないと考えています。

次回は、なぜ香港市場に中国企業が上場するのかについて解説していきます。