テクノロジー

【現地レポート】 中国のモバイル決済事情

先般、筆者は中国、上海に渡航し現地の決済事情に肌で触れてきました。

いま、中国の多くの地域で以前より浸透しているのは『QRコード』です。この決済文化は日本にはまだ流れてきておらず、貴重な機会となりました。

あらゆるものにQRコードが載せてあり、商品から街頭広告、タクシーやTVだけでなく、インターネットサイト、動画、生放送といったサイバー空間にまで隅々に浸透しています。それほどまでにQRコード需要が伸びています。

取り分け、生放送や動画広告にQRコードを載せる文化は日本国内には現時点ではほぼ無に等しいです。業界構造と、動画の広告単価の相対的な高さがニーズの貧しさの要因ともいえるでしょう。中国では、どんなに短い動画広告にもQRコードが添付されています。

さて、本題のスマホ等を用いたモバイル電子決済事情ですが、結論から述べると、そこに住む万人が利用できる決済方法が浸透していました。中心地から郊外まで、大型ショッピングモールから小さな商店まで電子決済端末が導入されています。


支払い手段はAlipayかWeChatPay

多くのお店で、微信支付(以下WechatPay)と支付宝(以下アリペイ)による決済が可能となっています。
WeChatPayはテンセント(騰訊)が運営するサービス、アリペイはアリババ(阿里巴巴)グループが運営するサービスです。現状、この2強が電子決済を支配しているといっても過言ではありません。

最近はアリペイ需要が増してきており、数種類の広告を見かけました。

買い物をする時は、レジや店頭には必ずこのような表記があります。

ちなみに、先日より現地ではApplePayも導入されましたが、利用者はほぼいないようです。
たまたま訪れたお店でもよく見ないと判らないようなところに表記がありました。

筆者はWechatPayとアリペイの寡占の現状をここでも実感します。


実際の支払い方法

支払い方法は非常に簡単。自分の銀行カードと紐付けたQRコードを提示するだけ
以下が実際にアリペイで決済をしている様子です。

撮影:筆者
決済:協力者

モバイル決済をしたレシート

途中、マクドナルドに入ってみました。

ここまでは日本と同じ。

ところが、なんと店内にはスイーツを販売する場所が併設されていました。

さらにレジの方へ進むと、ある機械が設置されていました。

商品をタッチしながら選んでいく。
ここでもやっぱり使うのはQRコードを使った電子決済。
画面に表示されたQRコードを(ここではアリペイの)カメラ機能を使って読み取って支払いをします。
上で紹介した、店員に読み取ってもらう支払い方法とは逆の方法です

店頭表記。

よくみるとここでも小さくリンゴの表記が・・・。

銀聯カードなどのデビットカード決済はパネル下方の端末からできるようになっています。

支払いが終わったらレジ上のモニターに自分の番号が表示されるまで待ち、呼ばれたら受取にいきます。現金での支払いを希望する人は受け取り時に会計をします。

実は、このマクドナルドのタッチパネル画面を用いた決済方法は日本、欧州・北米、中国とで少し違います。例えば日本の店舗では交通機関系電子マネーか現金の二択だが、欧州・北米の店舗ではクレジットカードで支払いができるようになっています。そこから、その国の文化に合わせたシステムが導入されていることがわかるでしょう。


他のサービス

今回、他にも新しいサービスを発見しました。

これは自転車をシェアし合うサービスです。
日本にも似たような自転車の共有サービスは存在しますが、決められた場所の設置台におかねばなりません。しかし、これは決められた停車場所がなく、自由度は高いです。郊外にも浸透しているサービスです。

利用方法は、QRコードを読み取りロックを解除→乗り終えてロックをかければ自動終了といったシステムです。支払いは事前チャージ式でロック解除時より料金が発生します。

料金は30分1元とあります。


個人間の送金もWeChatで行える

中国では手数料0円で気軽にお金を送り合える環境があります。

例えばWechatは多くの国民が利用しているアプリ(日本でいうLINE)ですが、チャット感覚でお金を友人や家族などに送金が可能です。

僕も受け取りを試してみました。

[WeChatの場合]

[アリペイの場合]

新年を迎えた後、上海市内の地下鉄に乗っていると、女の子が友人に「見て、貰ったよ」と送金されたばかりのWechatの画面を見せているシーンがありました。

僕は日本人ですが、現地に友人や協力者らがいなければ今回の体験は難しかったです。それに現地の銀行口座開設や電話番号等なども必要なので外国人には少しハードルが高いようにも感じました。

考察

日本ではSuicaやICOCAなどの交通機関系電子マネーが浸透していますが、まだスマホ等のモバイル端末を用いた決済は小規模に留まります。Android端末にはSONYが開発した技術『FeliCa』が導入されるなどして、交通機関系以外のEdyやWaon、nanaco、idなどが利用できます。そう考えると最近のApplePayというのは後発で、今更という感想を持つ人もいるでしょう。

では、日本でモバイル端末を用いた電子決済が流行らなかった理由は何か。

それは、機種による制限があったというところに尽きるでしょう。今回調査した中国における電子決済では、どの携帯でも、アプリがダウンロードでき、カメラ機能さえあればどんな人でも使えるシステムでした。

また、グレートファイアーウォールの如く徹底された外資の制限を国家手動で行っているため、閉鎖的な社会を作り出したことも一因といえるでしょう。

このような要因から社会に浸透し、国民同士で活用するほどにまで産業が成長したのでしょう。郊外でも当たり前のようにモバイル決済環境があり、中心地にいけばあらゆる人がスマホ画面を提示して決済をしています。そのような空気がありました。

暗号通貨との関連性

この中国の決済文化が影響し、世界規模の新たな変化が見えてきています。
それは暗号通貨取引です。元々、人民元への信用があまりない同国では、逃げ場所として金(ゴールド)があった。その金が下落し、次のターゲットはビットコインとなったわけですが、ここまで紹介してきたように、国民はQRコードを使ったモバイル電子決済や、小数点以下の金額に見慣れています。そのため、ここまで同国の取引所が盛隆を極め、世界中のビットコイン取引のシェアを奪っていったことにも納得がいくでしょう。

おまけ

筆者が導入するモバイル決済アプリ

ここ1年ほど、日常では現金はほぼ持ち歩かなくても生活ができています。
機種はXperia。国内の送金であればネット銀行を利用。ネット銀行ユーザーは読者の中にもいるのではないでしょうか?

この中ではスターバックスの決済アプリが、今回取り上げたアリペイの決済にバーコード読み込みという点で近いのではないでしょうか。

その他の電子マネー

コンビニに売っていたもの。ウォルマートやアマゾン、ケンタッキーなどがあります。

紅包

実は中国では、ネット上でも個人や民間企業がお金を与え合うイベントが毎年設けられています。
年始や、旧正月である春節等の特別な期間に行われています。

一例

Thanks for my Chinese friends and people around them.